2013年3月20日水曜日

「エンジェル・フライト」おすすめです!






どうもこんにちは、OPのイズミです。

久々に素晴らしい一冊に出会いましたので、紹介させてください。

佐々涼子「エンジェル・フライト」

雑誌や新聞などで目にし、ちょうど自分の仕事とも相通ずるものを感じたので、
手に取ってみました。

取り上げられているのは国際霊柩送還士というお仕事。
「エアハース」という会社が成田空港の一角にあります。
そこでは海外から帰ってきたご遺体をエンバーミング処理し、
ご遺族の元へお返しすることを専門に行っています。

さまざまな背景を持つ人の「死」に接する送還士たちやご遺族の思いが、
読めば読むほど胸に迫ってきます。
人の人生が十人十色であるのと同じように、その「死」、
そしてその死の受け止め方もまた人それぞれなのだという、
当たり前のことをひしと感じました。


中でも心に響いた一節を・・・
「国際霊柩送還士たちにとって、亡くなった人と最も近い一日がある。
 それは遺体が帰ってきた日だ。
 彼らは処置をしながら懸命に声を聞き取ろうとする。その人の人生、
 その人の人柄、その人の伝えたかったこと。どんな姿で家族のもとへ帰りたいか。
 いつも、どんな髪型を好み、どんな笑顔をしていたか。そして家族に何を
 伝えたいか。」

私たちの仕事では、ご遺族様と電話でお話させて頂くのはほんの5分のこと。
それからお礼状の文章を作って、お届けするまでの間・・・
人ひとりの生涯からすればほんの一瞬にすぎない接点ですが、
その人と「かかわる」わけです。

そういえば高校生の頃、担任の先生が「人は人にとって環境である」と
常々仰っていました。どんなに長かろうが短かろうが、深かろうが浅かろうが、
人とのかかわり合いによって私たちは生かされている。
そんなことを日々実感しながら、仕事ができるのはありがたいことだな、と
しみじみ思います。

2012年「開高健ノンフィクション大賞」受賞ということですが、
筆者の眼差し、切り込み方も素晴らしいものがあります。
開けば一気に読み切れる一冊でしたので、ぜひ多くの方に読んで欲しいです。

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