2011年5月18日水曜日

重なる面影

取材をしていると、お亡くなりの方の年齢が90代、 次の取材も90代、その次は100歳超え… なんてこともそう珍しいことではありません。 「ついこの間まで店先に座って、家業の手伝いをしていましたよ」 「去年の夏は畑で農作業をしていました」 「施設に入って十数年…私達の顔を見るたび、嬉しそうに笑ってくれました」 どなたも最後の一瞬まで、与えられた命を輝かせています。 私の祖父母も3人が健在。 最も高齢である父方の祖母は、祖父を看取って11年… 92歳になる現在も一人暮らしを続けています。 周りの方々は「元気でいいね」そうおっしゃいますが 子供が成長するスピードと同じように この2、3年目に見えて「老い」が進んでいます。 もう杖をつかずには1歩も歩けません。 玄関でどれだけ大きな声で「こんにちは」と叫んでも 聞こえず、近くまで行って「ばあちゃん」と声を掛けても 気が付かず… 背中をポンと叩くと「わぁっ!」と言って 驚くのが常です。 それでも私が訪ねてゆけば、どんなに寒い日も大雨の日も 「ご飯を食べに行こうか」そう言って、外出の支度を始めます。 着替えをするのもゆっくりゆっくり… ボタンひとつかけるのにさえ、随分時間がかかるようになりました。 昔はお出かけと言えば、祖母が手を引いてくれたものですが 今では私が小さくなった柔らかな手を引きます。 お決まりの『会計はどっち!?』の闘いでは「ばぁちゃんに ご馳走させて。私が払いたい!!」と半ば怒りながら財布を差し出す祖母。 一人で寂しい毎日を過ごしながらも、大好きだった祖父の元へ 行きたいとは言わず「まだ死にたくない。孫が可愛くて 孫の一生が気になるもの」と言って、私たちより長生きをねらっています。 取材で大切なご家族を亡くされた遺族と話をするたびに 重なる面影…。 人生とは限られた時間 祖父母ばかりでなく、日頃から周りの大切な人達へ素直に想いを伝えてゆける 人でありたいと願っています。 より良い礼状が作れるよう、今日も模索中の鮎川でした。

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